療育手帳とは、知的障害者を支援するための手帳です。
療育手帳・愛の手帳の制度の概要
東京都の愛の手帳も、療育手帳です。
療育手帳とは、知的障害者のための手帳。
療育手帳とは、知的障害者に交付される手帳です。
知的障害者へ一貫した指導・相談、各種の援助措置を、受けやすくすることが、療育手帳の目的です。
療育手帳の交付人数ですが、厚生労働省の統計によると、日本全国で約91万人です。
障害の程度によって等級がある。
療育手帳は、重度Aと、中軽度Bの等級があります。
療育手帳の知的障害の程度は、「重度のA」と、それ以外の「中度・軽度のB」に区分されます。
療育手帳は、地域によって、手帳の呼び名や、等級の種類に違いがあります。
東京都では「愛の手帳」という呼び名で、1度と2度が重度の知的障害で、3度と4度が中軽度です。
療育手帳の等級別の人数ですが、療育手帳を持つのが約91万人で、そのうち重度のAは約38万人、それ以外の中軽度のBは約53万人です。
年齢の区分では、18歳未満が約23万人、18歳以上が68万人です。
(厚生労働省「厚生統計要覧」より)
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療育手帳の障害の判定基準・等級って?
詳しく知りたい。
療育手帳の判定基準・等級。
療育手帳の申請は、市役所で行う。
療育手帳は、市役所などが発行する公的な手帳です。
療育手帳の交付申請は、住んでる地域の、市役所などの障害者福祉担当窓口に申し込みを行います。
療育手帳の申請して、実際に手帳をもらうまでは、とにかく時間がかかります。
ただ、難しい書類などはなく、手順通りに手続きや、障害の診断は進むので、心配いりません。
申請手続きでわからないことは、市役所の障害者福祉担当窓口の方が教えてくれますよ。
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わたしの療育手帳、申請手続き体験談
詳しく知りたい。
療育手帳の申請手続き。
療育手帳で、いろんなサービスを受けられる。
療育手帳にはメリットがいっぱいです。
療育手帳があると、料金の割引サービスなどが、いろんなところで受けられます。
携帯電話の割引、税金の割引、JR新幹線の割引など、療育手帳はメリットいっぱい。
知的障害者へのサービスを上手に活用しましょう。
うちの子も、療育手帳のメリットを活用させてもらって助かってます。
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療育手帳の割引・サービスの使い方
詳しく知りたい。
療育手帳のメリット。
療育手帳の他にも、障害者のための手帳がある。
障害者のための手帳は3つあります。
知的障害者を対象とした療育手帳以外にも、障害者を対象とした手帳が、他に2つあります。
障害者を対象とした手帳
- 知的障害者が対象の、療育手帳
- 身体障害者が対象の、身体障害者手帳
- 精神障害などが対象の、精神障害者保健福祉手帳
他の2つの障害者手帳も、療育手帳と同じような援助支援やサービスが受けられます。
身体障害と知的障害の両方ある場合は、身体障害者手帳と療育手帳の両方がもらえます。
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3つの手帳の違い、療育手帳と身体障害者手帳、精神障害者手帳
詳しく知りたい。
障害者向けの3つの手帳。
療育手帳がいらないなら、もらう必要はない。
知的障害者であっても希望しなければ、療育手帳を取得する必要はありません。
療育手帳を取得しない理由
- 知的障害者と思われるのが恥ずかしい。
- 知的障害者というレッテルを貼られるのが嫌。
いろんな考えで、療育手帳をもらわないのは自由です。
無理に療育手帳を申請しなくても全然構いません。
一旦、療育手帳をもらった後でも、返還できます。
いらなくなったら、いつでも返却できます。
また、療育手帳を持っていても、学校の普通学級に通うこともできます。
療育手帳を持つ知的障害児でも、支援学級にするか、支援学校にするかは、選択することができます。
療育手帳で、学校を制限されることはありません。
ただし、療育手帳は、指導・相談、各種の援助措置を、受けやすくするための手帳なので、療育手帳がなければ援助措置などが受けにくくなります。
療育手帳の提示だけで受けられるサービスも多くあります。
せっかくなら療育手帳の経済的メリットなどを活用した方がお得ですよ。
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療育手帳のデメリットはこれです。
詳しく知りたい。
療育手帳のデメリット。
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療育手帳と学校、普通学級、支援学級、特別支援学校。知的障害を持つ子の進路。
詳しく知りたい。
療育手帳と学校のこと。
療育手帳の制度は、地域によって違います。
住んでる地域で、療育手帳の制度が違う。
療育手帳は地域で違いがあり、引っ越すと再発行の場合があります。
療育手帳の制度は、手帳の名前、障害の判定基準、障害等級の区分など、住んでる地域で微妙に違いがあります。
療育手帳制度は国の助言に基づき、各都道府県が条例や要綱によって実施する制度なので、自治体により交付基準に若干違いがあるのです。
そのため、引っ越すと療育手帳は、一旦返還して、申請手続きを最初からやり直す場合があります。
今住んでる自治体と、新しく転入する先の自治体の制度によって違いますが、3つのパターンがあります。
なるべく療育手帳をそのまま継続使用して、負担を少なくする方法もあります。
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引越しで療育手帳は再発行?継続使用?3つのケースと対処方法
詳しく知りたい。
引っ越しと療育手帳の再発行手続き。
療育手帳は、法律で決まった制度ではない。
療育手帳は、全国共通じゃない?
療育手帳って、法律で決まった全国共通の制度ではないんです。
知的障害者の自立や支援についての法律、知的障害者福祉法にも療育手帳のことは書かれていません。
もともと知的障害者への手帳制度は、国より先に、独自の判断で開始している地方自治体がありました。
その後になって、国が全国の自治体へ、療育手帳を発行するように通知しました。
都道府県が主体的に療育手帳を発行し、国の厚生労働省は指導だけ。
それぞれの都道府県が、療育手帳を発行しています。
療育手帳を管轄する国の機関は、厚生労働省です。
しかし、厚生労働省は、地方自治体に対して、指導はしていますが、主体的に療育手帳のルールを決めて発行しているのは、それぞれの都道府県です。
昭和48年に、国(当時は厚生省)が都道府県などに通知した、療育手帳制度についての通知により、都道府県知事又は指定都市市長がそれぞれの条例や要綱で、療育手帳制度を実施し交付しています。
東京都の場合は、「東京都愛の手帳交付要綱」に基づき、愛の手帳を交付しています。
地域によって、手帳の名前が違う。
療育手帳は、手帳の名称も、地域によって違います。
療育手帳のいろんな呼び名
- 東京都の、愛の手帳
- 青森県の、愛護手帳
- さいたま市の、みどりの手帳
- 横浜市の、愛の手帳
- 名古屋市の、愛護手帳
これらの全部が療育手帳です。
手帳の名前は、厚生労働省の局長通知「療育手帳制度の実施について」で、「手帳の名称は療育手帳とするが、別名を併記することはさしつかえない」とされているので、自治体によっては別名があります。
東京都は愛の手帳ですね。
さいたま市ではみどりの手帳、名古屋市では愛護手帳という手帳の名前を使っています。
ただし、別名の併記であって、療育手帳は療育手帳です。
東京都「愛の手帳」と、療育手帳との違い。
東京都の「愛の手帳」には、「東京都療育手帳」と併記されています。
東京都の「愛の手帳」と、一般的な「療育手帳」の違いは、障害の等級の表し方です。
一般的な療育手帳では、障害の等級をアルファベットで表しますが、東京都の愛の手帳では、数字で等級を表します。
障害の程度 |
一般的な 療育手帳 の等級 |
東京都 愛の手帳 の等級 |
---|---|---|
最重度 | A | 1度 |
重度 | A | 2度 |
中度 | B1 | 3度 |
軽度 | B2 | 4度 |
療育手帳の主な記載事項。
療育手帳には、顔写真、生年月日や、障害の等級などが書いています。
療育手帳には、障害者本人の顔写真を貼り付けます。
療育手帳に書いている内容は、知的障害者の氏名、住所、生年月日、性別などです。
療育手帳の記載項目
- 知的障害者の氏名
- 住所、生年月日、性別
- 顔写真
- 手帳の発行番号
- 発行年月日
- 障害等級の程度
- 旅客鉄道株式会社旅客運賃減額
- 航空運賃割引
知的障害者本人が未成年なら、その保護者の情報も記入されています。
それと障害の程度については、これまでに受けた指導や相談の記録を記入する欄があります。
福祉事務所の場所や、受けられるサービスが書いています。
いろんな申請書などで、療育手帳の番号を記入するケースがあります。
療育手帳には、整理番号のような、固有の手帳の発行番号が書いています。
記載内容の中で重要なのが「障害の程度」です。
「重度A」や「中度・軽度B」の等級があります。
この障害の程度によって、療育手帳で受けられるサービスが変わります。
また、鉄道の割引の「旅客鉄道株式会社運賃減額」には「第1種、第2種」、飛行機の割引の「航空運賃割引」は「本人、本人・介助者」の区分があり、障害の程度によって区分が変わります。
児童相談所などで障害の判定を受ける。
障害を判定するのは、子供なら児童相談所、大人なら知的障害者更生相談所です。
療育手帳の障害の程度は、18歳未満は児童相談所、18歳以上は知的障害者更生相談所が判定します。
18歳未満の障害を判定する児童相談所とは、児童福祉法で決められた18歳未満の児童の問題全般についての専門機関です。
成人の障害を判定する知的障害者更生相談所とは、知的障害者福祉法で決められた知的障害者のための組織です。
児童相談所と知的障害者更生相談所には、それぞれの地域で愛称があり、東京都の知的障害者更生相談所は「心身障害者福祉センター」という、愛称で呼ばれています。
療育手帳の年齢制限、何歳から取得できる?
療育手帳には、年齢制限はありませんが、一般的には手帳が取得できるのは3歳からです。
知的障害とは子供が成長する過程で見られる症状で、成人する18歳くらいまでに現れます。
この知的障害者が、療育手帳の対象です。
療育手帳を取得できる年齢には、何歳からという決まりはないので、いつからでも取得できるのですが、赤ちゃん、乳児では知的障害かどうかの判定ができません。
一般的に、知的障害と判定ができるのは幼児3歳からです。
そのため、療育手帳が取得できるのも3歳からが原則になっています。
うちの子も、3歳になった時に、知的障害と診断されました。
ただし、希少染色体異常などの先天的な疾病で、3歳未満でも知的障害と判定できれば、療育手帳は取得できます。
対象年齢はないので、成人後の大人になってからでも新規に手帳を取得することもできます。
しかし、高齢者の認知症、怪我や事故での脳障害の後遺症などは、知的障害ではないので、療育手帳の対象ではありません。
高齢者の認知症は、知的障害ではないので、療育手帳はもらえません。
療育手帳の障害の判定に納得できない時には。
納得できない時には、不服申立てと再判定。
- 療育手帳がもらえなかった。
- 障害の等級に納得できない。
こんな時には、不服申立てと再判定の手続きができます。
不服申立てとは、決まった障害の判定を、すぐに再度診断してもらう手続きです。
再判定とは、しばらく様子を見て、時間が経って障害の状態が変化した時に、再度診断してもらう手続きです。
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療育手帳がもらえない、等級が不満、再判定と不服申立て
詳しく知りたい。
再判定と不服申立て手続き。
療育手帳の更新と有効期限、障害の再判定
療育手帳は、次回判定年月で、手帳を更新します。
療育手帳には、次の判定年月が記入されています。
この次回判定年月で、障害の検査を行って判定を見直し、療育手帳の更新手続きをします。
療育手帳には、全国統一の更新期限は、決められていません。
療育手帳を何年で更新するか、有効期間がどれくらいかは、それぞれの自治体によって違いますが、2年から5年程度で更新する自治体が多いようです。
有効期限が切れる前に、障害の再判定を受けましょう。
再判定の結果、知的障害が改善されたと判断されれば、療育手帳が没収となる可能性もあります。
そのため、次回の再判定までの期間が、実質的な療育手帳の有効期間になります。
次回の判定年月が、実質的な療育手帳の有効期間です。
更新不要・再判定不要のケースもあります。
成人になって、これ以上障害の程度が変化しないと考えられる場合は、更新の再判定が不要で、有効期限がずっと続く自治体もあります。
東京都の愛の手帳の場合、3歳、6歳、12歳、18歳で、年齢更新の障害の再判定を受けます。
この更新判定で障害の判定区分が変わった場合は、等級が変更になります。
東京都の愛の手帳では、18歳以上になると障害判定の更新はなくなり、有効期限なく、ずっと無期限で使えます。
名古屋市の愛護手帳は、障害判定の更新を18歳未満は3年、18歳から50歳までは5年で更新を行います。
50歳以上では有効期限や更新はなくなります。
うちの子の療育手帳の更新の再判定は、4年後でした。
有効期限が4年ってことですね。
旅客鉄道株式会社運賃減額
JRや私鉄、バス、高速道路などの割引区分です。
療育手帳にある「旅客鉄道株式会社運賃減額」の欄は、JRの切符の割引の種別が書いています。
そして、JR以外にも、多くの交通関係がこの欄の区分で割引になります。
「第1種」と「第2種」の区分があり、その区分でJRの切符の割引内容が決まります。
この旅客鉄道株式会社運賃減額は、本来はJRの割引についての決まりです。
しかし、私鉄やバス、高速道路などの多くの交通関係が、JRの割引内容に準じた割引を実施しているので、この区分によって交通関係の割引が受けられます。
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療育手帳でJR新幹線の障害者割引
詳しく知りたい。
JRの新幹線の割引。
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療育手帳で障害者割引、高速道路が半額に
詳しく知りたい。
高速道路の割引。
航空運賃割引
航空運賃割引の欄の種別で、飛行機の割引条件が決まります。
療育手帳にある「航空運賃割引」の欄は、飛行機の割引の種別が書いています。
「本人」、「本人・介護者」、この2つの区分があります。この区分に応じて、飛行機に乗るときに障害者割引を受けられます。
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療育手帳で飛行機の割引
詳しく知りたい、飛行機の割引。
療育手帳を失くしたら、すぐに再発行。
療育手帳をなくした、うっかり紛失したら、すぐに役所にお願いして、再発行してもらいましょう。
なくした時以外にも、汚れがひどい、洗濯して水濡れ、やぶれた、そんな時にも再発行してもらえます。
療育手帳は、知的障害者にとって大切な手帳です。
役所の方に迷惑かけないためにも、大切にしましょうね。
国の指導内容を詳しく知りたい。
昭和48年の当時の厚生省の通知の全文を見たい方は、下のリンクをご覧ください。
この通知が発出された当時は、国の機関委任事務制度があったため、各都道府県に対し法的拘束力がありましたが、現在は技術的助言となっています。
療育手帳についての、厚生労働省の指導文書です。
厚生労働省の指導文書
療育手帳は、メリットを活用するためのもの。
なんだか難しい話になりましたが、障害者が割引、支援、相談など、いろんなサービスを受けやすくなる、役所からもらえるありがたい手帳。
それが療育手帳です。
障害者への配慮に感謝しながらどんどん使って、療育手帳のメリットを上手に活用しましょう。
療育手帳のメリットを、どんどん活用しよう。