療育手帳の制度・判定・等級

引越しで療育手帳は再発行?継続使用?3つのケースと対処方法

実はわが家、これまで転勤で、いろんなとこを転々と引っ越してます。

引っ越すと療育手帳はどうなるのか?

療育手帳って引っ越したらどうなるの?
そんな悩みの対処方法を紹介します。

引越しの時に療育手帳がどうなるかは、今住んでる自治体と、新しく転入する先の自治体によって違いますが、3つのパターンがあります。


療育手帳と引越し

  • 1、住所変更だけして、療育手帳をそのまま継続使用。
  • 2、障害判定は継続して、療育手帳を再発行。
  • 3、障害判定をやり直して、療育手帳を再発行。

療育手帳の引越し手続きは、この3つのパターンのどれかです。

障害判定をやり直して再発行、これって始めから療育手帳の取得をやり直すのと同じこと。
とっても面倒ですよね。

なんとか今の手帳をそのまま使って、再発行の負担をなくしたい。
誰でもそう思います。

ただ、結論は「それぞれの自治体の判断に従うしかない。」です。

でも諦めないでください。
国の厚生労働省からは、なるべく障害者や保護者の負担をなくす指導をしてくれています。

簡単な申立書を提出するだけで、面倒で手間がかかる障害の再判定が省略できる場合もあります。
これを知ってれば、手続きが楽になります。

それぞれのケースでの対処方法を紹介します。

都道府県を越えて引っ越す時は、療育手帳が再発行になる。

同じ県内での引越しなら、療育手帳は住所変更の手続きだけで、そのまま継続して使用できます。

しかし、都道府県を越えて引っ越す場合や、同一県内でも政令指定都市では、それぞれの自治体で療育手帳の制度が違うため、再発行になる場合があります。

都道府県を越えた引っ越しでも、そのまま継続使用できる場合もありますが、残念ながら、多くの県外への引越しでは、療育手帳は再申請が必要です。

障害の等級の呼び名にも、違いがあります。

東京都の愛の手帳では障害の等級をA、Bではなく、1度から4度までの独自の呼び名にしています。
このような独自の障害等級を使っている自治体の場合は、他の地域とは、障害の判定の区分が違うため、多くの場合で療育手帳の継続使用ができません。

これは療育手帳が法律で決められた制度ではなく、各都道府県が定める制度で発行しているからです。

ちなみに、身体障害者手帳は、法律で決められた制度なので、全国どこへの引越しでも、住所変更の手続きだけで継続して使用できます。

引越しで療育手帳が再発行になると、こんな困ったことが。

古い療育手帳を返還して、新しい手帳をもらうまでの間、手帳のサービスが受けられない。

転居前の自治体が発行した療育手帳を、引越しで転出する時に返還すると、転入先の新しい自治体から療育手帳が発行されるまでの間は、療育手帳のサービスが受けられません。

療育手帳の申請手続きを、始めからやり直すと3カ月程度かかる場合もあります。
療育手帳がもらえるまでの期間は、電車の切符の割引、バスやタクシーなどの公共交通の割引サービスが受けられなくなります。

引越し先で、障害の判定をやり直すと、手間がかかり負担が大きい。

療育手帳の再発行で、障害の再判定をすると、障害児本人を同伴して児童相談所に行かないといけません。
保護者の手続きの手間は、しょうがないと思いますが、障害の判定のために、子供の学校も休ませることになり、負担が大きくなります。

療育の記録が途切れ、障害を持つ子の療育に一貫性がなくなる。

療育手帳が再発行になることで、過去に障害を持つ子が受けた療育の記録、診断の記録が途切れてしまいます。
それによって、成長の経過が失われ、その後の療育に一貫性がなくなってしまいます。

国の厚生労働省は、継続使用を指導しています。

厚生労働省は、療育手帳を継続使用できるように指導してくれてます。

国の厚生労働省は、都道府県を越えて引越しても、療育手帳を継続して使用できるように、以前から指導文書を通知しています。
しかし、療育手帳は制度は、都道府県の独自の制度のため、各自治体でそれぞれ制度が微妙に違うため、多くの場合、再発行をしているのが実態です。

残念ですが、厚生労働省も、各自治体の制度の違いが理由の再発行は、しょうがないと認めています。

療育手帳の引越し、これが厚生労働省通知の指導内容。


療育手帳の引越し、国の指導内容

  • そのまま手帳が使える場合は、そのまま継続して手帳を使う。
  • 障害者、障害児や保護者の精神的・物理的負担を避ける。
  • そのまま手帳が使えない場合は、過去の障害の判定資料を活用し、手帳を再発行する。
  • 返還して再交付までに空白期間がないように、経過的に旧住所地の療育手帳の使用を認める配慮をする。
  • 旧住所地の障害の判定などの記録欄は、再交付する新しい療育手帳に転記する。

なんだか、障害者、障害を持つ子の親にとって、ありがたい指導内容です、感謝。

引っ越しでの療育手帳の手続きのポイント

転居前に必ずやる、療育手帳の手続き。

引越し前の役所の福祉窓口で、療育手帳の継続使用を申し出る。

まず、今の手帳をそのまま使えるかを、確認しましょう。
現在の住所と、新しい転居先の住所によって、使えるか、使えないかが、変わります。

転居先でも使える確認が取れたらラッキーです。
住所変更だけで、そのまま継続使用できます。

福祉窓口の方が、新しい転居先へ確認の上、継続使用を断られた場合は、しょうがありません。
ねばっても役所の方に迷惑なだけです。
諦めましょう。

継続使用がダメでも、新しい手帳ができるまで、以前の手帳を使わせてもらう。

そのまま今の療育手帳を使い続けることができなくても、空白期間ができないように、一時的に古い療育手帳を使わせてもらいましょう。
転居前の手帳の返還から、転居後に手帳を再発行してもらうまで、空白期間があると、本来受けられるはずの療育手帳のサービスが、受けられなくなります。

空白期間をなくすため、古い療育手帳を延長して使うことは可能です。
厚生労働省の指導通達にも、古い手帳を延長するように書いています。

ただ、残念なことですが窓口の担当者によっては、正しい知識がなく、とりあえず延長使用を拒否することもあります。
厚生労働省の通知を見た。」と担当者に伝えてみましょう。

転居後にやる、療育手帳の手続き。

療育手帳の継続使用ができない場合は、申立書を提出しましょう。

転居前の療育手帳を使い続けることができない場合は、次のどちらかのパターンになります。

  • 障害判定は継続して、療育手帳を再発行。
  • 障害判定をやり直して、療育手帳を再発行。

つまり、引っ越した後に、障害の判定をやり直す必要が、あるか、ないか、このどちらかです。

できるだけ負担を少なくするためには、前回の判定をそのまま使って、療育手帳を再発行してもらう方がありがたいですよね。
厚生労働省も同じ指導をしてくれています。

その厚生労働省の通達の中に、前回の障害の判定をそのまま流用する対処方法が書いています。

それは、障害者、障害児の保護者が「申立書」を提出することです。
簡単な申立書を転居後の役所の福祉窓口に提出することで、負担の大きい障害の再判定が不要になります。

「申立書」の様式も、厚生労働省の通達に書いてくれています。

ここで注意することですが、何も言わなければ、自動的に再判定を受けさせられる可能性があります。
正しい知識で、正しく申請、要請することで、余計な負担を省きましょう。

まとめ、引っ越すと療育手帳はどうなるのか。

3つのパターンで、それぞれやる療育手帳の手続きのまとめです。


1、療育手帳を継続使用できる。

住所変更だけして、療育手帳をそのまま継続使用。
  • 転居前の役所で確認する。
  • ダメでも延長使用をお願いして、空白期間をなくす。

2、手帳は再発行でも障害判定は継続

障害の判定は継続して、療育手帳を再発行。
  • 転居後の役所で、転居前の障害の判定を流用する「申立書」を提出する。

3、療育手帳を再発行、障害も再判定

障害判定をやり直して、療育手帳を再発行。
  • 最終的には、自治体の判断に従いましょう。
  • 療育手帳は各自治体の制度なので、しょうがありません。

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厚生労働省通知、「転居に伴う療育手帳の取扱いの留意事項について」

(平成五年六月二二日)
(児障第四二号)
(各都道府県・各指定都市民生主管部(局)長あて厚生省児童家庭局障害福祉課長通知)

標記については、昭和四八年九月二七日厚生省発児第一五六号厚生事務次官通知「療育手帳制度について」により通知され、その具体的取扱いについては昭和四八年九月二七日児発第七二五号厚生省児童家庭局長通知「療育手帳制度の実施について」により通知されているところであるが、別添の総務庁行政監察局長のあっせん内容も踏まえ、今般、知的障害児(者)及びその保護者の負担の軽減と療育手帳の一層の利活用を図るため、左記により取り扱うこととしたので御了知の上、必要な事務手続きの見直しを行うとともに、関係機関に周知徹底を図り、円滑な実施を期されたい。

 記

1 転居の場合における療育手帳の継続使用の徹底について
昭和四八年九月二七日児発第七二五号厚生省児童家庭局長通知「療育手帳制度の実施について」において、他の都道府県又は指定都市(以下「都道府県等」という。)の区域に住所を移した場合、同一都道府県等内における住所変更の取扱いと同様に、新住所地の都道府県等において、手帳の記載事項の訂正により使用することを原則としている。
これは、知的障害児(者)又は保護者の精神的、物理的負担を避けること、及びできるだけ従来使用してきたものを使用することで、事業主体である都道府県等が変わった場合であっても、一貫性のある指導・相談等を行うことを可能にするとの趣旨からであるが、実際にはこの取扱いが徹底されておらず、一律に新規発行を行う例が多く見られる。
ついては、継続使用の趣旨を踏まえ、従前の手帳を支障なく使用できる場合は、その継続使用を行うものである旨を徹底されたいこと。

2 転居の場合における療育手帳の新規発行について
新住所地の都道府県等における独自の援助措置の基準として、中度等の区分を設けており、旧住所地の療育手帳をそのまま使用することが困難で、やむを得ず新規に発行する場合には、障害をもつ本人等の負担の軽減、一貫した指導・相談等の観点から、次の措置を行うことで、運用の改善を図られたいこと。
(1) 知的障害児(者)又はその保護者が、旧住所地の児童相談所又は知的障害者更生相談所における判定資料の活用を申し出た場合には、可能な限り、新住所地の都道府県等は、旧住所地の都道府県等の判定資料を活用し、原則として新たに面接を行うことなく療養手帳を交付すること。
判定資料の照会が行われた場合は、趣旨を踏まえ、プライバシーに十分留意して、判定資料の提供を行うこと。
なお、判定資料の活用にあたっての手続については、別紙様式を参考とし、書面により行うこと。
(2) 新たに療育手帳を交付する場合にあっては、その交付までの間、交通機関の運賃割引等の利用に不便のないよう、経過的に旧住所地の療育手帳の使用を認め、新たな療育手帳の交付と引き替えに回収する等の配慮を行うこと。
(3) 旧住所地の療育手帳の記録欄に記された事項のうち必要なものは、コピー等を利用して新規の療育手帳に転記することにより、利用者の一貫した指導・相談等に支障を生じないよう配慮すること。

申出書の例、参考資料

申出書

 (旧住所地都道府県名)の(判定機関名)において、既に判定が行われていますので、できるだけその時の判定資料を活用して判定を行ってください。

  平成  年  月  日

  申出者       (印)

※ 申出者は、療育手帳交付申請書の申請者と同一人で、手帳の交付を受けようとする本人又は保護者の方となります。

この簡単な申出書を提出してみましょう。


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