3つの手帳の違いを、丁寧に解説します。
障害者向けの3種類の手帳
「療育手帳」は知的障害者のための手帳ですが、療育手帳の他にも障害者のための手帳があります。
手帳の種類 | 障害の種類 |
---|---|
療育手帳 | 知的障害 |
身体障害者手帳 | 身体障害 |
精神障害者保健福祉手帳 |
精神障害 (発達障害を含む) |
この3種類の手帳が、障害者のための手帳です。
障害の種類によって、手帳の種類が違います。
仮に、身体障害があって、知的障害があって、精神障害がある人であれば、3つの手帳を全部取得することが可能です。
3種類の手帳、全部取ることもできます。
療育手帳とは
知的障害者の支援のために発行される手帳が、「療育手帳」です。
この療育手帳の制度は、国の厚生省が、1973年(昭和48年)に、各都道府県が療育手帳を発行するように通知を出したことで、全国的に始まりました。
「療育手帳」は、発行する地域によって、「愛の手帳」「愛護手帳」「みどりの手帳」など、呼び名が違う場合があります。
しかし、これらは単に呼び名が違うだけで、基本的に療育手帳と同じものです。
地域によって呼び名が違っても、知的障害者向けの手帳は、全国共通の呼び名が「療育手帳」と決められています。
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療育手帳とは?愛の手帳とは?療育手帳の制度って?
詳しく知りたい。療育手帳・愛の手帳の制度。
「愛の手帳」「愛護手帳」「緑の手帳」も療育手帳の一種です。
身体障害者手帳とは
一番歴史が長い手帳が、身体障害者手帳です。
「身体障害者手帳」とは、「身体障害者福祉法」という法律によって、決められた制度で、1949年(昭和24年)から始まりました。
肢体不自由や視覚障害、聴覚障害などの、身体に障害がある人が対象です。
身体障害者手帳の特徴
- 身体障害者福祉法によって決められた制度
- 等級は、1級から6級までに区分
- 1・2級が重度、3・4級が中度、5・6級が軽度
- 療育手帳と同様のサービスが受けられる。
療育手帳と身体障害者手帳の違いはこれ。
手帳がないと、身体障害者ではない。
身体障害者には手帳が必須。手帳なしでは障害者と認められません。
身体障害者福祉法では、身体障害者手帳の交付を受けた人だけが、身体障害者と決められています。
つまり、法律上では、手帳を持っていない人は、身体障害者ではないってことです。
知的障害者の場合は、療育手帳は、法律で決められた制度じゃないので、療育手帳を持たなくても、知的障害者と認められています。
この点は、療育手帳と身体障害者手帳の大きな違いです。
身体障害者手帳は、充実の福祉サービス
福祉サービスが充実。
身体障害者手帳のサービス
- 車椅子などの日常生活用具の給付や貸付。
- 短期入所やデイサービスでの介護施設の利用。
- 要介護者への自宅訪問看護でのヘルパー利用。
など、身体障害者手帳があれば、充実した福祉サービスが受けられます。
療育手帳の方が、心身障害者扶養共済に加入しやすい。
これは療育手帳の方が、有利な点です。
身体障害者手帳に比べて、療育手帳の方が有利な制度も、中にはあります。
心身障害者扶養共済の制度では、療育手帳の方が有利になっています。
「心身障害者扶養共済」とは、身体障害や知的障害などを持つ、障害児の親だけの、公的な生命保険の制度です。
保護者の死後のお金の管理は、知的障害者の方が知的能力が低いので不安があります。
そのため、療育手帳を持つ知的障害者の方が、心身障害者扶養共済には加入しやすく、有利な制度になっています。
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療育手帳と心身障害者扶養共済
詳しく知りたい、心身障害者扶養共済。
障害児の親だけの、お得な生命保険の制度です。
精神障害者保健福祉手帳とは
手帳自体には、障害者手帳とだけ書いています。
「精神障害者保健福祉手帳」とは、「精神保健福祉法」という法律によって、決められた制度で、1995年(平成7年)から始まりました。
精神保健福祉法の正式名称は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律と言います。
精神障害に対しては、偏見や差別が強いことに配慮して、手帳には「障害者手帳」とだけ書いています。
精神障害、うつ病、そう病、てんかんなどが、精神障害者保健福祉手帳の対象です。
また、自閉症やADHD、アスペルガー症候群などの、発達障害も、精神障害者手帳の対象に含みます。
精神障害や発達障害で精神障害者手帳を持つ人が、知的障害もあれば、療育手帳との両方の手帳の併用も可能です。
精神障害者保健福祉手帳の特徴
- 精神保健福祉法によって決められた制度
- 等級は、1級から3級までに区分。
- 1級が重度、2級が中度、3級が軽度。
- 有効期間が2年。
- 療育手帳と一部のサービスが違う。
療育手帳と精神障害者手帳の違いはこれ。
療育手帳の方が、交通関係のサービスが多い。
療育手帳のほうがサービスが充実。
療育手帳と精神手帳の違い
- JRや私鉄などの鉄道関係の割引
- 航空会社の飛行機の割引
- 高速道路、有料道路の割引
これらの割引サービスは、療育手帳や新障害者手帳では受けられますが、精神障害者手帳にはありません。
療育手帳の方がお得ってことになります。
法律で決められた精神障害者手帳より、法律じゃない療育手帳のサービスの方が充実しているんです。
精神障害者手帳には、2年での更新がある。
知的障害や身体障害と違い、精神障害の状態はずっと続くとは限りません。
精神障害者手帳の対象である、うつ病などは、回復する見込みが十分あります。
そのため精神障害者手帳には、2年の有効期限があり、必ず再審査を受ける有期認定となっています。
この点も、療育手帳の方が、更新期間が長く、一度取得すると更新の手間が少なく便利です。
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療育手帳の割引・サービスの使い方
詳しく知りたい、療育手帳のメリット。
どの手帳を持つのがいいのか?
3種類の障害者の手帳、結局どれがいいの?
身体障害者手帳、療育手帳、この2つの手帳は、両方もらえるなら、もらった方がいいと私は思います。
そもそも、身体障害は手帳を持たないと、身体障害者として認められない制度です。
お得な手帳ランキング
- 1位、身体障害者手帳
- 2位、療育手帳
- 3位、精神障害者保健福祉手帳
わたしの考える障害者手帳ランキング。
身体障害者手帳が1番サービスが充実しています。
やっぱり、法律で決められていて、伝統のある身体障害者手帳が、一番サービスが充実しています。
もちろん、療育手帳も、ほぼ同じレベルのサービスが受けられます。
精神障害者保健福祉手帳は、受けられるサービスに制限があります。
これは、仮に3種類の手帳を全部申請できる障害があった場合に、どれがお得かの話です。
身体障害者手帳か療育手帳のどちらかを持っていれば、精神障害者手帳は、あまり必要にならないと思います。
ただ、身体障害者手帳と療育手帳のどちらも持っていなければ、精神障害者手帳を申請しましょう。
うちの子は療育手帳だけ。
うちの子は、知的障害と発達障害の両方の障害があります。
発達障害は、精神障害者手帳の対象になります。
しかし、療育手帳を持っているので、精神障害者手帳の申請はしていません。
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療育手帳とは?愛の手帳とは?療育手帳の制度って?
詳しく知りたい。
療育手帳・愛の手帳の制度。
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療育手帳の割引・サービスの使い方
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